Masako's Voice 《主宰・小宮雅子のひとことメール》

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0602009/08/15(Sat) 18:31
 「目指すは、悠々の『プラン・ドゥー・チェック』力」

朝には開き夕べにはしぼむむくげの花が美しく咲くこの頃です。道端のつゆ草も涼しげな
青い花を咲かせ、夜ともなるとその茂みからは虫のコーラスが聞こえてきます。

日中の暑さは厳しいものの暦の上ではもう秋! 朝夕はとても凌ぎやすくなりました。

帰省や行楽のピークに折悪しくやってきた台風や地震、その爪あとに戸惑われた方も多い
のでは…と案じておりますが、皆様、いかがお過ごしでしょうか?

私は、おかげ様で体調を崩すこともなく元気にしています。今はちょうど(16日まで)
夏季休暇のため通常の業務はお休みなのですが、都合によりプライベートな旅行を来月に
延期したことから、ゆっくりとお墓参りをし本棚や書類の整理をしながら心をほぐして
います。
普段にくらべると街には車が少ないので懸命に鳴くせみの声がよーく耳に届き癒されます。

ところで、前回のMasako's VOICE には「夏休み…本をベースにした5つの楽しみ」を書か
せていただきました。

いずれも、お子さまの・年齢なり・性格なりの工夫を伴うものなので、かなり難しい点が
あるかもしれませんが、個性に合わせた工夫をもってそれらにチャレンジしていただけた
なら、今年の夏休みは、きっと、退屈する暇なく生活時間そのものを楽しむことが出来、
さらにはいつのまにか今後の生活習慣の良き基盤を蓄えることも出来るはず…と考えての
5項目でしたから…その後 あのVOICE をお読みいただいた皆様のご様子(実践報告)を
私はとても知りたいと思っていました。ですから、早々にいただいた

『ひとまず、(1=朝読書)と(2=絵本体験)だけは頑張っています』
『お揃いのエプロンを作って(3=親子でお料理)をやってみました。楽しいですねー。
 パパまで参加してくれたんですよ』
『(3=家事体験)について、難しく考えず何でも一緒にやってみました。私には面倒な
 家事も子どもにはオママゴトなのか? 時間はかかりましたけど楽しく遊べた感じです。
 特別なことじゃなくても子どもには楽しいんですね』

などのお声は、とても嬉しいものでした。

なかでも、友・斗ぴあ会員のKさん(横浜市)からいただいた下記のご報告(5=時間割に
基づいた規則的な生活)は、嬉しいばかりでなく大変貴重なものだと感じましたので、
その一部を披露させていただきます。

『…子どもは今、時間や文字に興味がわいているので、早速昼と夜の時計を一緒に作って
(二枚の紙に書いて)みました。時計の時間配分によって、何か物事を行うときの時間を
量としてとらえることができて良かったように思います。
子どもはいつも「あそぶ時間が少ない!」と文句をいいますが、円グラフのように示すと
「あそぶ」ところがどれだけ多いかを感覚的にとらえることができたようで、それだけで
本人はいたく満足したようでした。
お互いにあそびの自由時間にやりたいことを書き出しました。
私がやりたいことをひとつ言って書き出すと子どももひとつ言うというような順番でした。

母「朝か夕方に散歩をしたい」 息子「ロボットカミイをつくりたい」
母「お絵かき(絵日記)をしたい」 息子「積み木をやりたい・つくりたい」
母「ケーキやお料理を一緒につくりたい」 息子「おままごとをおかあさんといっしょ
  につくりたい」
母「いろんなことをしらべたい」 息子「いろんなことをしたい。考えたい。」

子どもは「幼稚園がしばらくお休みだ〜」とくらいにしか思っていませんし、夏休み?と
いうような気持ちのようですが、2人で決めたことというのが嬉しい様子で、朝、父親に
一生懸命一日をどうすごすかやりたいことがあることを伝えていました。
少しでも興味があるのならと思い、夏休み中のケーキ作りもぜひ一緒にやろうと思います
……』

以上のご報告から、Kさんとお子さまが体験された

・生活の時間割を作り、時間を目に見える量としてとらえた
・互いに意見を出し合い、それを書き留めていった
・子どもの心の旬(今やりたいこと)を理解し、出来れば一緒にやってみる

は、いづれも大変楽しく親子で心を通わすことの出来る体験であり、一方では
・時間の概念・計画性・自発性・想像力・思考力・コミュニケーション力・実行力などなど、
”生きる力の種”を育む貴重な体験であると思えます。

そして、やがては、この”生きる力の種”が、豊かな言葉と学び・更なる体験の積み重ねに
よって磨かれ育てられ、お子さまの未来には、悠々の『プラン・ドゥー・チェック』力が、
もたらされるに違いないと信じます。

まだまだ続く夏休み!益々楽しい親子の語らいととびっきりの体験が出来ますように…と
願っています。

そのために、上記の実践や私のVOICE がお役に立てたら…本当に嬉しいことです。

☆友・斗ぴあは、17日より通常の活動を行います。
「公開絵本講座」はお休みいたしますが、その代わりとして「電話相談」に力を入れさせて
いただきます。

どうぞ皆様、(ご相談に限らず)様々なお声とご質問をお寄せくださいませ。


                                小宮 雅子
0592009/07/18(Sat) 19:21
『夏休み…本をベースにした5つの楽しみ』

夜明けが待ち遠しそうに花びらを広げる朝顔、街に響く元気な子ども達の声、いつから
ともなく鳴き始めたセミ…2,009年も暑い暑い夏本番を迎えました。

皆様お元気ですか? そして今年の夏休みは、どんな計画を立てられたのでしょうか?
海へ山へ、あるいは故郷へ、ご家族それぞれの心の翼が、バーンと広がっていることで
しょう。

私は、おかげ様で元気です。今月は会員の皆様へのお便り発送直後に・東京・横浜での
『公開絵本講座』を行い、急ぎの所用と取り組んでいました。まるで嘘のような速さで
時間が過ぎ、気が付けば巷はもう夏休み、慎んで暑中のお見舞いを申し上げる次第です。

さて、後半年の基点である今月は、いつの年にも夏休みが迫るにつれ皆様からのお問い
合わせが多くなり、私は、もしかしてセブンイレブン?の活動状況になるのですが、
特に今年は、国内はもちろん海外へ行き来する方からのお問い合わせが多いことから、
”読み聞かせ”という古くから当たり前とされた日本の育児文化が、国境を越えて見直
され新たな展開を見せていることを強く感じています。

地球環境の変化、政治経済の変化、人の心の変化、相も変わらぬ民族や宗教による争い
など、世界には様々な問題がありますが、こんな時代だからこそ人は、安心と本物を求め
長い歴史の中での確かな智恵を手繰るのでしょう。

”たかが読み聞かせ”に、なんとも大げさな解釈かと思われるかもしれませんが、物が
優先する文化が行き詰まりを見せる中で”足るを知る心”がクローズアップされ、心の
文化に人々の視線が移っていることは、大変正しいことであり嬉しいことだと思うのです。

・「仕事仕事で家庭を顧みる暇もなかったパパが(会社の都合で)帰りが早くなり、
 お休みも多くなったんです。収入は減りましたが、遊んでもらう時間が多くなった
 子ども達は、喜んでいます」
・「なるべく節約しようと、お料理を一から見直してます。子どももそれを見て楽し
 そうに手伝ってくれます」
・「教育費の見直しから子どもの塾通いをやめました。私が子どもと一緒に勉強を
 しています。そうしたら子どもの学習状況が良くわかるようになったし子どもは
 嬉しそうです」

などなど…最近直接耳にしたこのような皆様のお声からも、長引く不況のもとで日々の
暮らしの無駄と無理があぶり出され真摯な対応策が練られていることが伺え、暮らしや
家庭教育が、”災い転じて福”の状況を生み出していることに、拍手を送りたい気持
です。

そう考えると今夏は、肥満傾向だった家計をダイエットさせ、運動不足だった”親力”を
鍛えなおす絶好の時といえるのではないでしょうか。

そしてダイエットが、ただやみくもに体重を落とすのではなく、運動不足解消がただやみ
くもに動き回るのではないように、家計からも親としての関わり方からも、守るものと
切り落とすべきものとの見極めが問われるのだろうと思います。

心の文化の核である「言葉」、生きる力の核である「思考力・創造力・人と自然を愛する
力」…これらを育む教育が、よりタイムリーに、より明快に、より粘り強く、人付き合い
の核である家庭において行われたなら、日本の親力はどんなに向上し家計における教育費は
どんなにスリムなものになるでしょうか。

40年余りの長い歳月をかけ・質を厳選し・ジャンルのバランスを整え・過不足のない量を
心の発達段階ごとに整えた基本図書『ほるぷこども図書館』は、こんなご時世だからこそ
見直されるべき文化財であり人間教育の手引きなのだと、私は確信しています。

そしてまた、人間教育の手引きとしてこの本たちを頼みにし生かしきるためには
ただただ儀式のごとく就寝前に読み聞かせるだけではなく

1)朝読書の励行
2)夏ならではの体験がリンク出来る本選びと無理のないレベルでの絵本体験
3)(本を見ながら)親子一緒のお料理体験
4)発達に見合った家事体験
5)(親子で考え作成した)予定表、時間割にもとづいた規則的な生活

などが、とても大切なことだと思います。
少なくとも(1)と(2)を心がけて過ごすことが出来れば、今夏の親子関係は、かなり密度の
濃い楽しいものになることでしょう。

私も、読書アドバイザイザー・家庭学習のアドバイザーとして歩んだわが道を振り返れば、
早いものでもう30年余りとなりました。8月は『公開絵本講座』をお休みいたしますが、
長い間支えてくださった多くの皆様に感謝の気持をこめ!例月以上に『電話でのご相談』に
力を注がせていただきます。
 
これまでに培った育児の具体的なアイデアや、今になってようやく確信を得た私なりの
育児論を、縁ある皆様とゆっくり語り合えるのを楽しみにしています。

「上記5つの過ごし方ポイントを詳しく…」や「こんな些細なこと聞いていいのかしら?」
と言うようなことなど、どしどしご質問をお寄せくださいませ。

そしてどうぞ皆様、暑さに負けずに素敵な夏をお過ごし下さいませ。

                               小宮 雅子
0582009/06/14(Sun) 17:19
『お付き合いは、ほどほどに』

緑したたる木立に紫陽花がひときわ綺麗に咲いています。
稲田を吹き抜ける風は、まるで緑色であるかのように爽やかに頬をなでてゆきます。
いよいよほとんどの地域に、慈雨の季節がやって参りました。

皆様お元気ですか? 
気持が落ち着く雨日、真夏への充電のため頑張る晴れ日の静と動、きっと、二つの
スイッチを切り替えながら、忙しくお過ごしのことと思います。

早いもので今年ももう半分が過ぎようとしていますが、お陰さまで私は、つつがなく
元気な日々を過ごしています。

半年を振り返れば、当ホームページへいただくメールやお電話での読み聞かせと育児
の相談は勿論のこと、ライフワークである絵本講座も、定番の首都圏以外(3月ー京都、
4月ー広島、5月ー名古屋)へと歩を進めることが出来、多くの皆様と濃い時間を共有
いたしました。いずれも心躍る時間だったことを嬉しく思っています。

『お会いして(あるいは、お話しして)エネルギーをもらいました』と仰ってくださる
皆様のお声こそが、私の元気の源だと感謝しています。

後半の半年もこれまで同様、一日一日感謝の気持をこめて、”読み聞かせの普及”に
努めるつもりです。どうぞ皆様、変わらぬご愛顧をお願いいたします。

さて、前回のMasako's VOICE『最初が肝心』についてなのですが…じつにたくさんの
反響をお寄せいただきありがとうございました。

私が、友・斗ぴあ流として提唱している”家庭教育の基点=生活リズムの整え方”に
ついて、予想を越えた多くの方々に共感、あるいは問題意識を感じていただけたことに、
正直なところ驚きました。そこで、それならば…と(少しシツコイかもしれませんが)
今月のVOICEでも、引き続きそのことに触れてみることにいたします。

☆特に多かったお声は、『幼稚園からまっすぐ帰れない』ということに端を発する悩み
 でした。
例えば、2時に降園し近くの公園で複数組の親子で1時間〜2時間遊び4時前後に帰宅する
と、目いっぱい遊んだ子どもは(親自身も)とても疲れていて、おやつもそこそこに
お昼寝をしてしまい、夕飯の時間や就寝時間がずれてしまう。
あるいは、帰宅後、親子共にばたばたとお稽古に向かう〜大慌てで夕方〜夜の時間を過
ごす。結果、『夕方から夜までとても忙しく、本を読む時間やゆっくり話しをする時間
なんてないんです』とのこと。

3歳、あるいは4歳で入園されたお子さまにとって、親から離れ集団で過ごす幼稚園での
時間は、あらゆる面において刺激的! 様々な情動の連続でもあります。園における保育
時間というものは、おそらくそのことを十分に考えた上で、合理的に定められているもの
なのだと思います。

ですから、十分に園での時間を過ごした子供は、いっときも早く家庭で休ませ、家庭なら
ではののんびりした時間の中で、心身を整えてあげるのが望ましいと思うのです。

『なんで寄り道してしまうの?』という私の素朴な質問に、殆どの方が口を揃えたよう
に『やっぱりお友達は大切だし、みんながそうしているものですから…』と返されます。

ということは、お互いがお友達に気遣いをし、心の中で違和感を感じながらも”付き合う”
を最優先させているんだなーと、ある意味その協調性?に感心しながら、その良すぎる
付き合いに(大げさに申せば)時代的な危うささえ感じてしまうのです。

もしかしたら・テレビ・ビデオ・ゲームも、”みんなが見ているから、持っているから”
と、自らの心の違和感は押さえ込み、”みんながすることだから…”と、同調してしまう
のではないでしょうか。
 
そして、それら同調の延長線上に

・日本の乳幼児の夜ふかしが世界でも突出していること
・幼稚園児や小学生の『慢性疲労症候群=「眠い」「横になりたい」「あくびが出る」』
 が激増していること
・ゲームやインターネットへののめり込みが、子ども達の心と体を蝕んでいること

などの悪しき現状があるように思えてなりません。

基本的な生活リズム、特に良い睡眠と良い食事(早寝、早起き、朝ごはん)は、子どもの
心と体の発達にとって非常に大切なものであり、その基本の上にこそ、更なる心の栄養
『朝ご本』の効用も発揮されます。

子どもの健康(生活リズム)を守るという親の責務を重たく捉え勇気を持って最優先し、
日々生き生き生活してくれる我が子と向き合うことが出来れば、「お付き合いは苦手?」
という外部の声や、「一人だけ浮いてしまうかも?」という自らの不安などは、きっと
ちっぽけなこと、いつのまにか影を潜め消え去ってしまうのではないでしょうか。

ちょうど”食育月間”でもある6月、「子どもの体を守る我が家の食」「心のバランス食
=読書環境の見直し」に心を砕く絶好の時!だと思います。

どうか、体に・心に良く効く『我が家ならではのレシピ』を、たくさん生み出して下さい
ますように。

                               小宮 雅子



0572009/05/11(Mon) 09:14

『 最初が肝心 』

爽やかなみどりの風、華やかに咲き競うつつじや藤などの花々、驚くような速さで飛び
交うツバメたち・・・早いもので季節はもう活気溢れる夏となりました。

皆様、お元気ですか? 例年以上に車での行楽が多かったという今年の大型連休でしたが、
皆様はいかがお過ごしだったでしょうか?
オゾンいっぱいの野山で、待ちに待った催しへの参加で、あるいはご自宅でのーんびりと、
楽しい時間をもたれたことでしょう。

私も、恒例のプチ旅で目の覚めるような緑を眺め、つかの間ながらも趣味の時間を楽しみ
エネルギーを充電いたしました。健康に感謝しつつ夏の活動をスタートしたところです。

特に今月19日(火)には、・京都(3月)・広島(4月) に続き、一年ぶりの・名古屋(交流会)が
予定されておりますので、心地よい緊張と楽しみでとても元気にしております。
(中部東海地方の皆様、どうぞ奮って!ご参加くださいませ) 
 
さて、今春ご入園ご入学をすませたお子様達も、早やひと月あまりが過ぎ、新しい生活の
リズムが身についてきた頃でしょう。おそらくお子さま以上に張り詰めていたママの緊張
も薄らいできた頃かと思います。

連休明け早々、友・斗ぴあへ寄せられた会員さんからのお声にも「案ずるより生むが易し
でした」という安堵のご報告が複数ありました。環境への順応が早い子どもの逞しさは、
いつの時代も全く変わることはなく、本当に素晴らしいものだなーと思います。

ただ、なかには(新1年生の場合)、新しいお友達が出来た嬉しさに下校後も遅くまで遊び
続け体力的にも時間的にもきつくなってしまい、始まったばかりの今しっかりと身に付け
させたい学校と家庭の生活バランスとリズムが教えられない…と悩めるお声もありました。

実はそのことは、私のこれまでのアドバイザー経験のなかで、この時期の新1年生の親御
さんに数多く見聞きしたことでもあり、私としては、よくよく注意を払っていただきたい
と思う家庭教育のポイントなのです。が、現実には案外軽んじられ、むしろ”お友達と
元気に遊べて何より”とさえ思われて、見過ごされ勝ちな問題だといえるでしょう。

何事でも「最初が肝心」です。特に生活習慣は、一旦身に付いてしまうとそれがどんなに
良くないものでも、後になって訂正するには大変なエネルギーや苦痛を要します。
頭ではいけないことだと解ってはいても、体がいうことをきいてくれないからです。

心の土台作りは乳幼児期に!と、その糧である読み聞かせに精を出し心の発達に合わせて
しつけにも心配りをするのと同様、長い学校生活を見据えての良好な生活リズムの土台作り
は、何といっても入学当初の過ごし方にかかっているのではないでしょうか。

・寄り道しないで真っ直ぐに下校することはもちろん・帰宅後はまずお茶を!で、心も体も
 ほっとさせる
・明日の準備は必ず親子一緒に行い忘れ物をさせないようにする
・買い物や食事など家事の手伝いを習慣化させる
(目的は手伝ってもらうことではなく親子で過ごす時間そのもの。お勝手は総合学習の場)
・家族で食事をする
・親子読書の時間を確保する
・早めに就寝させる
・子どもの話は、手を止め 目を見て 話の腰を折らずに 急かすことなく聴く。
・出来ないことに目を向けるよりも、出来たことをしっかりと具体的に褒めてあげる。
などなどは、友・斗ぴあが、スタート期の大切な育児ポイントとするところです。


『はじめて小鳥が飛んだとき 森はしいんとしずまった 木々の小えだが手をさしのべた 
 うれしさと不安で小鳥の小さなむねは どきんどきん大きく鳴っていた
 「心配しないで」と かあさん鳥が  やさしくかたをだいてやった
 「さあ おとび」と とうさん鳥が  ぽんと一つかたをたたいた
 はじめて小鳥がじょうずに飛んだとき  森は はく手かっさいした』

     
…これは、原田直友さんの詩「はじめて小鳥が飛んだとき」ですが

”はじめて”が連続する喜びと不安に満ちた時期の子どもの心は、まさにこの詩の小鳥その
もの。”はじめて”を、明るく元気に乗り越えることで一つ一つ身につく自信と勇気を手に
入れさせるためにも、親御さんはもちろんのこと、全ての大人たちが、森の木の心を以って
子供たちを見つめ守らねばと思います。
                             
                               小宮 雅子






0562009/04/13(Mon) 15:59

      『こころを静めて、子どもに響く魔法の言葉を』

桜木は華やかな花から眩しい緑へと美しさが変わり、”春爛漫”という言葉がぴったりの
快適な季節となりました。光をあびた若緑を見ていると身も心も生き生きしてくるのを感
じます。
また、ピカピカのランドセルが重そうな可愛い一年生、真新しいスーツ姿が少ーしぎこち
ない新社会人の初々しい姿などが、街並みを新しく感じさせてもくれるこの頃です。

皆様、いかがお過ごしですか?
 
お子さまが、ご入園、ご入学、そしてご進級の佳き節目を迎えられた皆様方
本当におめでとうございます。子供の晴れ姿ほど親にとって嬉しいものはありませんね。
そして幼ければ幼いほど、新しい環境にけなげにチャレンジされているお子さまの姿に
感慨もひとしおのことと思います。

どうか明るく元気で伸びやかに! この季節の木の葉のようにすくすく成長されますよう
に…と願います。

早いもので、そんな清明の新年度ももう半月が過ぎようとしています。
社会情勢に目を向けると、厳しいことばかりが目立つ昨今ですが、幸いにも友・斗ぴあは、
皆様に守られ2009年度も元気にスタートいたしました。

(諸用に追われ、Masako's VOICEの書き込みが遅くなり、一部の方にご心配をおかけいた
しましたが、私はいつにも増して元気に充実の時間を過ごしていますのでご安心ください)

基点である首都圏ではもちろんのこと、今月23日は、広島県初の『公開絵本講座』を、
そして来月(19日)は、名古屋での第2回『交流会』を行う予定です。そんなことからも
”友・斗ぴあ流絵本子育て”が、多くの方々に受け入れられ確かな広がりとなっていること
に気持を熱くしています。

さて、『公開絵本講座』と並び、私のライフワークとなっているのが『電話によるご相談』
に応じることですが、その中で今話題の中心となっているのが、この時期(ご入園・ご入
学・転居など)ゆえの”デリケートな子どもとの接し方”と”学力”についてです。

・最近、夜中に何度も目を覚ましたり、朝なかなか起きられません。
・急に言葉遣いが荒くなり、弟妹へのあたりかたがきついんです。

をはじめ、これまでとは様子の違うさまざまなことに悩んでおられる方が多いようです。
考えてみれば当然のことなのですが、環境の変化に緊張しているのは…実は、親のほうです
から、私といたしましては、とにかく出来るだけゆっくりご様子を伺うことに徹しています。
親が落ち着けば、子は親の鏡ですから、子どもの様子は即座に変わってきます。

夜中に何度も目を覚ましてしまうことも、急に言葉遣いが荒くなることも、環境の変化を
敏感に感じ取り、心身共に頑張って乗り越えようとしていることの表れ…大切なのは、何と
いっても”親子のスキンシップ”です。いつもより濃く・いつもより頻繁に・そして必ず
目を合わせて大いに”目で語る”を試みて欲しいと思います。「あれ、様子が変?」と感じ
た時、まずは静かに子どもを抱き寄せ「どうしたの?いつもとちがうみたい」「だいじょう
ぶ?」と語りかけることで、親自身の心もなぜかすーっと落ち着いてくるはずですから。

”世界一の学力を誇る国はフィンランドである”ということが言われすでに久しくなります
が、日本の中で最もフィンランド的であるのは秋田県だそうで、今全国から秋田県の教育に
熱い視線がおくられています。なぜ秋田なのか?とさまざまに議論される中、好結果を生ん
だ要因の一つとされたのが…『家庭のちから』でした。

すなわち
・朝食、夕食を両親や家族とともに規則正しくとる(体力、精神や情緒の安定につながる)
・塾に通う率が極めて低い(しかしその分、家庭で予習・復習をする)
・テレビを見る時間が少ない(会話が増える)
・子どもも祭りや地域の伝統行事などに参加する(地域・社会とつながる)
・家の手伝いをする(体験を通して学ぶ)
など、日本の社会が失いつつある古き良き伝統が守られているということでした。

それはちょうど、食文化が加速度的に西洋化し、更にはインスタント化したことから”生活
習慣病”が生まれ多くの日本人を悩ませ、外食化が進んだことから”おふくろの味”が薄れ
ている現在の日本に、バランスの良い理想的な食として”和食”が世界的なブームを巻き起
こし和食への関心を逆輸入させていることと、どこか似ているような気がいたします。

たしかに、朝晩の食事を家族そろってしっかり食べることが良いことと頭で分かっていても
簡単にそれが出来ないのも現状です。家族構成、仕事の有無や形態、地域差、親自身が家族
団らんを経験しないで育ったためそのイメージが分からない などなど、難しい問題は多々
ありますが、かけがえのない子育ての節目においては、”我が家の家庭力のありよう”を
しっかり確認し、見直しが必要かどうかを考えることこそが、とても大切なのではないで
しょうか。

☆波紋のようにこころにひろがる  かみなりのようにこころをゆるがす
 こころから生まれてこころにとどく ことばの力はこころの力

 多すぎることばはさわがしい こころの底の静けさがこころのふるさと(谷川俊太郎さん)

心が静まると意外なほど時間は生まれてくるもの…。
そしてそんな時間のなかに、”子どもに響く魔法の言葉”がひそんでいるのだと思います。

                               
                                   小宮 雅子

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